ボブとアンジー

ココロとカラダの箸やすめ楽食雑記

危ない!高齢者の筋力低下・筋力維持に役立つ食べ物とは?

危ない!高齢者の筋力低下・筋力維持に役立つ食べ物とは?

外出が億劫になる、家事が面倒に感じることなどありませんか?もしかしたら筋力が落ち始めているのかもしれません。食事も毎食取っているから栄養素もバッチリ足りているはず…と思っていても加齢と共に食事量が落ちていることもあります。今回は筋力を落とさないためにはどんなものを食べたらよいのかをお伝えします。

目次
筋力低下とはどうして起こる? 低栄養と骨折が筋力低下につながる 筋力維持におすすめの食べ物 食習慣を見直し筋肉を動かす

筋力低下とはどうして起こる?

人間の骨格筋などの筋肉量は30歳代以降で徐々に減少するとされており、50歳代以降は年に1~2%ずつ減少していくといわれています。 筋肉を構成する筋繊維数が減少し、さらに筋繊維が萎縮してしまうことにより、筋肉量が低下するのです。
高齢になると若い頃より30%近くも筋力が低下することで、つまずきや転倒につながるリスクも高まります。 転倒することで入院すると、安静にしていなくてはいけない状態が続くため、さらに筋力が低下しやすくなります。
さらに嚥下機能に関する筋力や直腸の筋力も低下します。 口やのどの筋力が衰えると、飲食物や唾液などが喉を通る際にそれらが気管に入りやすくなり、吐き出す力も弱るため誤嚥性肺炎を起こしやすくなります。また直腸の筋力が弱まることで便秘など排便などにも影響がでやすくなるといわれています。
筋力低下は加齢に加え病気や、ホルモンの分泌量の変化、食事を制限したダイエットや運動不足など様々な要因があります。
筋力や身体機能の低下した状態をサルコペニアと呼び、「加齢に伴って生じる骨格筋量と骨格筋力の低下」とされ、次の3段階に分けられています。

  • プレサルコペニア→単なる筋力低下
  • サルコペニア→筋肉量の低下に筋力又は歩行速度などの身体機能の低下がみられる
  • 重症サルコペニア→筋肉量、筋力、身体機能が低下した状態

これらの状態にならないためには食事をしっかり摂り、必要な栄養素を補い筋力を落とさないことが重要です。

鶏飯

【鶏飯】エネルギーとたんぱく質をしっかり補うメニューです。

鶏飯のレシピを見る

(※参考:NutritionCare 第11巻8号 西岡心大「高齢者の身体的特徴とは?」メディカ出版 日本静脈慶弔栄養学会雑誌 2016年31巻4号P949-954 / 森隆志「サルコペニアの摂食嚥下障害障害」https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspen/31/4/31_949/_article/-char/ja/ / e-ヘルスネット「骨格筋」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-026.html / 公益社団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「運動機能の老化」https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/rouka/undoukei-rouka.html)

低栄養と骨折が筋力低下につながる

高齢になると味や匂いを感じにくくなり、唾液の減少や噛む力と飲み込む力が弱まることで、食事量が低下して低栄養になるリスクが高まります。低栄養のリスクがあるとされた高齢者の90%がフレイル又はプレフレイルのいずれかであったという報告もあります。 また低栄養になることで免疫力が低下し感染症や肺炎などの病気にかかりやすくなることで、さらに筋力の低下が進んでしまいます。 このように筋力が低下することで転倒が増え骨折のリスクも高まります。

転倒による骨折に限らず一度骨折をすると運動機能の低下や姿勢の変化などにより、体の動きが少なくなります。 その結果ますます筋力も低下しやすくなるのです。筋力が落ちていくと骨折する機会が増え、体を動かさず横になっている時間が長くなると筋肉も動かしませんし、食欲も低下しやすくなるとさらに筋力の低下を招いてしまいます。筋力と骨の強度は健康と密接にかかわっているのです。

骨折に関しては筋力だけではなく骨の強度が弱くなっていることも原因にあります。 骨の強度が低下することを骨粗しょう症といい、高齢者にとても多い病気です。

骨粗しょう症は骨形成(新しい骨が作られること)が減少することで、徐々に骨密度や骨量が低下していきます。
人間の骨量は40歳を境に減少し始めます。特に女性の場合、閉経すると骨量が著しく減っていきます。
そのほか加齢に伴い腎機能が衰えてビタミンDの産生が低下すると腸管からのカルシウムの吸収が不足して骨密度が低下しやすくなります。 乳製品などからカルシウムの摂取や干し椎茸やいわしなどからビタミンDの多い食品を積極的に取り入れることが大切です。 またビタミンDは紫外線にあたることで体内で作られるため、散歩や室内からの日光浴などもおすすめです。 筋力低下を食い止めて、筋肉量を維持し、骨折のしにくい体にしていくためには、しっかりとした食事からの栄養摂取が必要になります。

(※参考:飯田薫子、寺本あい2020年「一生役立つ きちんとわかる栄養学」西東社 / 公益社団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット 「フレイル・サルコペニア予防の視点からの栄養管理」https://www.tyojyu.or.jp/net/topics/tokushu/koreisha-eiyokanri/frailty-sarcopeniayobou-eiyoukanri.html)

筋力維持におすすめの食べ物

筋肉量の維持に特に重要な栄養素はたんぱく質です。中でも良質なたんぱく質である肉、魚、卵、乳製品、大豆製品を積極的に食事に取り入れることが大切です。肉や魚にはコラーゲンも含み、骨の質を高めるためにも役立つため一石二鳥です。
高齢者はたんぱく質の吸収能力が若年者よりも低下しているため、より多くの量を摂る必要があります。まずは毎食良質なたんぱく質を1つ以上取り入れましょう。

朝食には納豆やゆで卵、温泉卵など冷蔵庫に常備できてすぐに食べられるものが便利です。 昼食と夕食は焼き魚、煮魚、肉類のソテー、煮物、またひき肉を使ったハンバーグなど、食べやすいものを取り入れるようにしましょう。
手作りが難しい場合はお惣菜を購入する方法もあります。
一人分のお惣菜がコンビニなどで売られていてバリエーションもとても豊富です。スーパーなどでお刺身もいいですね。温める必要がないため、食事の準備も楽です。サバの缶詰やさんま缶、やきとりの缶詰などはそのまま食べても大丈夫ですし、賞味期限も長いため常備しておくといいでしょう。

さらにたんぱく質をプラスするために食事に牛乳やヨーグルトをプラスしたり、お味噌汁に卵や肉類、豆腐などを加えるのもいいでしょう。
おやつはたんぱく源であるヨーグルトやプリンにする、間食に飲むヨーグルトを加えるなど、たんぱく質を補う機会を増やすことが大切です。
牛乳などコップに入れるのが面倒という方は200mlほどのパックを用意しておきましょう。 牛乳、豆乳、飲むヨーグルトなどはスーパーやコンビニなどでも買えて常備しやすいです。 乳製品は良質なたんぱく源でもありますが、骨に必要なカルシウムの摂取にも役立ちます。

食欲がない場合はごはんやパンだけ、おかずだけなどの食事になりがちですが、少量ずつでもよいので主食+主菜+副菜のバランスを取りながら食べるようにしましょう。

そうはいっても食べることができない場合はエネルギー強化やたんぱく質強化ゼリーやムースなどの補助食品を利用することも一つです。 元気を取り戻し、口からしっかり食べられるきっかけになります。
買い物に行くのが難しい場合は配食を利用したり、高齢者向けのお弁当の宅配などを利用するといいでしょう。

(※参考:飯田薫子、寺本あい2020年「一生役立つ きちんとわかる栄養学」西東社)

食習慣を見直し筋肉を動かす

筋力が落ちてくると何となく外出が面倒になる、食事の準備などの家事をはじめ身の回りのことが億劫になったりします。
しかし体を動かす機会が減少することで筋肉も落ちやすくなります。 近くのスーパーやコンビニなどに食材を買いに毎日行くことも筋力維持に最適なのです。

また食事の際にはしっかり噛んで食べる習慣をつけるということも大切です。噛むことで口のまわりの筋肉を使うことできます。 よく噛むことで唾液の分泌がよくなり、胃と腸の筋肉がしっかり動き、消化や吸収もスムーズになります。 義歯が合っていない方はうまく噛むことができず食事量の減少にもつながるため、早めに調整をするようにしましょう。
また食材の大きさやかたさなどが合っていない場合も食事量が落ちる原因になります。 食材のサイズやかたさを合わせてあげることで、噛む動作もしやすくなり、食事の量が上がります。 このように喫食状況により臨機応変に対応することも大切です。

筋力は元気に長生きするためにはとても重要です。食事をしっかり食べて栄養状態よくして健康的に過ごせるように準備をしていきましょう。

※当コラムは、ご利用者の健康状態や医療の必要性に言及したものではありません。また、当社は、情報自身について、その内容の真偽、適格性、正確性について保証や責任を負うものではありません。

金子あきこ

管理栄養士金子 あきこ

給食コンサルタント/節約美容料理®研究家
東京家政大学短期大学部栄養科卒業

10年以上給食委託会社にて特別養護老人ホームやデイサービス、幼稚園などにて調理や献立作成を行う。赤字を黒字転換する献立作成を得意とする。2015年に独立し給食施設のコンサル業務・レシピ開発・コラム執筆・セミナー講師・メディア出演など活躍中。著書『おなかぺったんこ腸筋レシピ』リピックブック など。

関連記事